「農は国の基」というが、「農は命の基」と価値評価すべきである。・・・
 私が「心を耕せ」というのは、日本の農業、食料問題を生産者、消費者たるを問わず、単に農家や農協でなく、国民全体の問題として考えてほしいということだ。・・・・・・・・農業者は、経済の問題だけではなく、生活面においても、言動においても、教養を高めなければならない。特に、青年には、そういうことに気をつけてもらいたい、と思っている。経済をいくらいっても、それは「我欲」であり、これには際限がない。それより、「心の豊かさ」である。・・・・・・・・私が常々、農家以外の消費者の側の人たちに「心を耕してもらいたい」というのは、農業の持つ重要性をよく認識してもらい、農業者に励みの心を与えるようにしてほしいということである。そういう社会状態をつくりたい、というのが私の願いである。
 
 
藤田 三郎 著『耕す心』より抜粋